REPORT

「第4回東京宝島会議」を開催!

2019年11月25日に、東京・赤坂で開催された第4回東京宝島会議。東京の島全11島の関係者など約80名の参加者が集まり、各島のブランド化に向けた取組状況の発表や意見交換を行いました。その模様をレポートします。

7つの島が導き出したアイデアを発表

第4回東京宝島会議は、ゲストアドバイザーに宝島推進委員会委員長の山田敦郎氏と委員のアレックス・カー氏を迎え、2019年度に島会議をスタートさせた利島、新島、式根島、御蔵島、青ヶ島、父島、母島の代表が、それぞれの島で議論してきたブランドコンセプトや、取組アイデアの中間発表を行いました。

1島目は「恵みを満喫、幸6000年の里島(さとしま)」をコンセプトに掲げる利島。
椿油・伊勢海老・サザエなどの特産品や、人口が300人で一定していること、35〜40歳のIターン者が伸びている等の利島の魅力を語る一方、伊豆諸島のなかでも認知度が低いという島の課題を指摘。

その課題を解決するためのアクションアイデアとして、利島産の食材を使った料理を提供し、利島の良さを知ってもらう飲食店や、椿油など「一品」にこだわって利島産品を発信する小規模アンテナショップを都内に開き、都心で島の魅力を発信しながら、島と人の交流を促進するアイデアを発表しました。

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2島目の新島が掲げるコンセプトは、「新しい、でつながる島」。
東京の島を知らない若い世代に向けて制作したという新島の映像を流し、その雰囲気を共有した上で、「島の仲間になれる『つながり』」というブランド価値を発表しました。

「新島の人たちはオープンマインド」という魅力をベースに、島に来てほしい人物像として、「島を自分の拠り所にできる人」と紹介。そして、アクションアイデアとして、新島が誇るヒト・モノ・コト・バそれぞれの「宝」をリンクさせるために、アプリ上で移動手段をマッチングするサービスと、個人が体験プログラムを提供するサービスをそれぞれ運営する企業と連携し、島の仲間になれるつながりを創出する構想を発表しました。

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3島目は式根島。他の島と比較して小さく、離島ブームの頃の島の雰囲気が残る島のブランド価値を「古き良き日本の島であること」と表現。そんな式根島では、「新しい『なつかしい』をつくる島」をテーマに将来的にローカルヒーローとなりうるような島にあたらしい風をもたらす情熱を持った人を呼び込むアクションアイデアを検討し、島の魅力と課題を掛け合わせた「CO workation(コワーケーション)」というアイデアに着地。

コワーキングとワーケーションという言葉を合体させて、仕事とバケーションを行える場所を提供するというアイデアに、聴講者からは「ワーケーションは全国的にも注目されているため必要性を感じる」という感想も聞こえました。

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4島目の御蔵島は、ブランド価値を「『特別感』を感じてもらえるような体験ができる島」と紹介。

島の周囲に野生のイルカが生息するため、多くのファンが来島しています。一方で、宿の数等の関係で島に入れる人数が限られること、心理的負担のない観光を考えていきたいことから、新たに多くの人を呼び込むのではなく、限られた来島者に特別感を感じてもらうことを念頭にアクションアイデアを検討。

「森にデッキやツリーハウスの設置し、人々が交流できる場を作る」「携帯電波の届かない南郷山荘を活用したデジタルデトックスツアー」「島民が案内役となる村内ガイドウォーク」などの案が紹介されました。

聴講者から「島の住民と来島者を調和させるために重要なことは?」という質問が出ると、登壇者は、島の伝統産業も併せて「島の人にも興味を持ってもらえるような内容にしたい」と回答。島民と調和できる方々と島の資源を活用し一緒に島の未来を作っていく体験ができることを念頭にプランを固めていく方針が発表されました。

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5島目に登場した青ヶ島は、冒頭に青ヶ島に伝わる歌を歌い、発表をスタート。
青ヶ島で導き出されたブランド価値は「船が来ない、立地条件が厳しいという『閉ざされている』ことから生まれる『自然・暮らし・人と人の関係性・特別な想い』」。

独特の環境を生かし「ドローン」を使った空撮をテーマにしたアクションアイデアを検討していることを発表。

ゲストアドバイザーのアレックス・カー氏は、「日本のサントリーニ島(※)のよう。大勢の観光客が行けるような場所じゃないため、特別感のある島として見せていければいい」と講評しました。
※紀元前16世紀の噴火によって険しいカルデラ地形が形成された、ギリシャ・キクラデス諸島の島

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6島目は父島。
都心から片道24時間の船旅を経てたどり着く、ボニンブルーの海や固有の生態系を有する父島のブランド価値を「ありのままにいのちが輝く、別世界を生きる島」と発表しました。

父島では、アクションアイデアとして、「島の自然を大切にして生きて暮らしていくこと」を念頭に置いた「外来種駆除やマイクロプラスチックの抽出作業に参加しながら生態系を学ぶ環境保全プログラム」や「小笠原リピーターの来島意欲を高めるパスポートの発行」、「竹芝から父島までを絵にした鳥瞰図の作成」などが発表されました。これらの取組は、小笠原の自立的発展とSDGs(※)にも寄与するとまとめました。
※「持続可能な世界を実現するための17のゴールと169のターゲット」から構成される、2015年の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標

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最後に登壇したのは、都心から1,050km離れた母島。
島名に違わず、港の近くの憩いの場「ガジュ下」に皆が集まり、当たり前に挨拶し、美しい自然に囲まれて平和に生きている母島のブランド価値を、「みんなが『らしく』暮らせる、母なる島。」と整理。その価値を「人間らしい暮らしの本質を求めている人々」(ターゲット)に伝えていきたいと発表しました。

ブランド価値を発信し、島内外で「母島のファン」を増やすために母島がまず考えたアクションアイデアは「いどばた座談会」を実施すること。ここでは、立場や年齢を超えて人が集まり、島外の視点も加えながら母島の良さや課題、やるべきこと、その先の未来について語り合います。「多様な価値観を持っている人たちが、みんなの幸せという目的に向かって一緒に漕ぐというのが大事。そのためにできることを構築していきたい」と宮城さんは語りました。

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昨年度島会議を実施した4島の取組

7島の発表後には、事務局より2018年度に先行して島会議を行った大島、神津島、三宅島、八丈島のその後の活動報告も行われました。
「当たり前の奇跡に気づく、豊かな水と生きる島」というコンセプトを掲げる神津島では、漁村体験プログラムや島の豊かな水に触れることのできる体験型コンテンツを設計。実際にターゲットに設定した外国人を島に招待し、モニターツアーを実施しました。「自分の色を取り戻す、七色の魅力に輝く島」の八丈島では、本土の飲食店舗と連携して島の魅力を発信し、島のファンを増やす取組を実施。具体的には、島の食材を使用しているなど、島と縁のある本土の飲食店の方を八丈島に招待し、現地訪問ツアーを実施。その後、ツアーで撮影した写真を写真集にし、本土の店舗に展示して、お客様に島の魅力を伝えてもらいます。「五感を呼び覚ます、火山とともに過ごす島」の三宅島では、2020年度開始予定の火口ツアーを前に、火山関連を軸に島内の魅力あるスポットの洗い出しと、アプリや写真プリントを活用した発信が検討されています。「「ちょうどいい」が見つかる、行きつけになれる島」大島では、「ちょうどいい大島の過ごし方」を念頭に、大島でできる体験の洗い出しや、Web サイトでの情報発信について検討されています。

4島のブランドコンセプトはこちら:大島神津島三宅島八丈島

島の暮らしを豊かにするためにも「フォーカス」が重要

全島の発表後、ゲストアドバイザーから講評がありました。

アレックス・カー氏は、「高齢化、人口減少の時代は同時に観光が花咲く素晴らしい時代。島の財産を健全に使える方法はないかと考えると、オーバーツーリズムにならない良い方向が見えてくるのではないか」とコメント。

山田敦郎氏は、「島の環境・自然を守る上では島のキャパシティも考えていかないといけない。東京宝島推進委員会には『島の暮らしを豊かにする』という目的があり、可能であれば来島者を増やしたいが、キャパシティが既にいっぱいの島に人を呼ぶことは難しいと思う。どの島も素晴らしい人がたくさんいて自然が豊かだと思うが、本日各島が発表したコンセプトのように、どこかにフォーカスしながら島を豊かにしていかないといけない。島の自然を壊さず、文化や産品にも関心がある人に来てもらえると良いのではないか」と語りました。

熱気にあふれた中間報告を経て、4島はアクションの一層の具体化、7島はそれぞれ島会議の最終回に臨みます。