REPORT

第4回母島島会議 開催レポート

東京宝島事業では、島の住民が主体となり、各島の魅力について議論し、磨き上げることで、島のブランド化を目指す「島会議」を行っています。10月28・29日の2日間に渡り開催された母島の第4回島会議・スタディーツアーの模様をレポートします。

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母島の未来や本質にふれるアイデアを求め、スタディーツアーへ

前回の島会議で「人間らしく暮らせる母なる島」というブランド価値を見出した母島では、その価値を体現する具体的なアクションプランを検討しています。母島が考えているのは、「島の人たちが自発的に集まり、島の未来や行うべき取組について継続的に語り合える場」をつくること。

第4回島会議として開催されるスタディーツアーでは、「金沢文庫芸術祭」と「株式会社場活堂(ばかつどう)」の2カ所を巡り、母島のアクションプランを磨き上げるためのヒントを探ります。

金沢文庫芸術祭の軸にある「偏らない」というバランス

金沢文庫芸術祭は、横浜市の海の公園およびその周辺地域で毎年9月に開催される芸術の祭典です。1999年のスタート以来、今年で21回目。数々のアートブースやフードブース、ワークショップが集まるオープニングフェスティバルには3万人以上が来場し、その後1ヶ月間、町のあちこちで開催されるアートラリーや、幼児施設などでのワークショップで、町中がにぎわいます。

「アサバ・アートスクエア(※)」に到着し、建物内を見学した後、金沢文庫芸術祭の実行委員長に話を伺います。
※金沢文庫芸術祭をはじめとした4つの組織・企画が連携して様々なアート企画を運営・開催しているギャラリースペース

金沢文庫芸術祭の始まりはデザイン教室を主宰していた委員長のお母様が、近所に暮らす友人との何気ない会話の中で、子供のアートを中心にした芸術祭の開催を考えついたこと。「デザイン教室に出入りしている人に片っ端から声をかけ、職業も居住地もバラバラの人たちが集まりました」と委員長が振り返ります。

「当初は地域おこしの目的もなく、学園祭ノリでした。テーマも毎年変わっていましたが12回くらいから『こどもの未来は地球の未来』というテーマが定着しました」

運営は概ね年初めからスタートし、月1回の定例会議を行いながら本番を迎えます。「課題はたくさんあるので、続けることが大事と実感している」という委員長の言葉に、参加者が頷きます。

「利害が生まれるとトラブルの種になるので利益は出さず、大人の趣味という感覚でやっている」という芸術祭の運営は、企業協賛や小口の協賛、横浜市からの補助、出店料などで経費が賄われ、余剰金は翌年に繰り越されるという仕組み。出店者には予め芸術祭の理念を説明し、理解のある出店者のみが参加する状況が作られているといいます。

人口約450人の母島で青年会長も務める宮城さんが「島内で話し合いの場を作り、無関心な人をいかに巻き込んでいくか」という課題意識を打ち明けると、委員長は「偏らないこと」が大事だと話します。

「一時期、芸術祭がネイチャー系のお祭と捉えられそうな時がありましたが、ヒッピー的なノリに見られたいわけではないので、バランスを意識している」という言葉に、宮城さんは大きく頷きました。

母島で皆が輪になって話せる場をつくるためには?

2日目は、「語り合いの場」をつくるヒントを得るため、さまざまな企業や自治体などで「場」を活性させる「場活師」として活躍する、株式会社場活堂を訪問し、お話を伺いました。

参加者に、企業や自治体はもちろん、歴史や民話、人気漫画など豊富な事例をもとに、コミュニティの構造や、バランス、活性化のヒントを伝授。

その後行われた「母島という場」の活性化に向けたディスカッションでは、「島民450人が旗を揚げるとそれに共鳴した人が外部からちょっとずつ集まってくる。1%でもいいから火を付ける、旗揚げのストーリーを作るのが大事」「旗印になるシーンが見えるといい。正しいから楽しいへ。楽しいところに人が集まってくる」というヒントに、宮城さんは「物とかブランドじゃなく、皆が輪になって話す状況をつくりたい。外から人を呼んだりしても良い。ムーブをつくりたい」と呼応。

「明るい」という母島の特殊性を活かす

「小笠原は雰囲気が明るいと言われる。年間通して温暖で晴天が多く、鯨なども来る。生命活動が年間通してあるため、エネルギッシュなことが風土になっているかもしれない」と宮城さんが語ると、「それは特殊だから意識化して活かした方がいい。そういう場を作り、母島にいる意義を作る」と重ねました。

ヒアリングの後は、場を活性化させるヒントとして、「協力関係を体験する」「雑談で気づきを生み出す」「メンタル・ブロックを外す」「ポジティブを意識化する」という4つのワークを体験。

2日間の学びを経て、宮城さんは「今回学んだコミュニティ運営に必要なバランスの大事さや、場づくりのノウハウは母島に持ち帰って活かせると思います」と笑顔を見せました。

次回は11月25日に開催される東京宝島会議に臨みます。