REPORT

「第1回島会議」神津島で開催!

東京宝島事業と島会議について

2018年からスタートした東京宝島事業。東京の島々が持つ素晴らしい景観や特産品、文化などを、これまで以上に有効活用して更なる魅力拡大を図ることを目的に、東京11島の住民の方々が主役となり「東京宝島ブランド」を作り、磨き上げ、広く発信し、島の高付加価値化を実現しようという取組です。この事業の一環として、各島(2018年度は大島(おおしま)・神津島(こうづしま)・三宅島(みやけじま)・八丈島(はちじょうじま)にてブランド化に向けた議論を行う場「島会議」を実施。それぞれの島で、様々な取組をされている方にお集まりいただき、2018年度内で5回の島会議を開催します。

9月25日、神津島の「まっちゃーれセンター」会議室で第1回の「島会議」が開かれました。その模様をレポートします。

「東京宝島」事業ガイダンス

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取り組む住民が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。2018年度からスタートした東京都の「東京宝島事業」の一環として、年5回の実施を予定しています。

「島会議」では、それぞれの島の住民自身が自らの島の宝を見つめ、議論や共有を進めていきます。また、それだけではなく、都心でのフィールドワークを通して学び、必要に応じて外部の専門家の協力も得ながら、これからの島づくりを考え、島のブランド化・高付加価値化を目指すという、これまで東京の島々で行われてきた地域振興事業とは異なる取組となります。

9月25日、神津島の前浜港船客待合所「まっちゃーれセンター」1階の会議室で、第1回島会議を開催。漁師などの一次産業に携わる方のほか、ゲストハウスや飲食店、自然ガイドといった観光業など、様々な業種の11人のメンバーが集まりました。

実は今回、悪天候のために飛行機が欠航となり、事務局スタッフの一部の参加が叶いませんでしたが、無事に神津島へ渡ることのできたメンバーで無事開催することができました。まさに島ならではのハプニングです。

はじめに島会議開催の挨拶があり、事務局より「東京の島しょ地域には様々な魅力があるが、地理的要因等から、それらを十分に活かしきれていないという側面もある。そうした課題も踏まえ、島しょの宝物に付加価値をつけていくための戦略を練っていくことが、この会議の目的の一つ。その主役は皆さん自身。専門家によるバックアップもしていくので、是非この場を活用し、島全体を盛り上げていく取組として欲しい」とメンバーへ呼びかけました。続いて、事業のガイダンスとして、島会議の目的や年間の会議の流れを説明後、アイスブレイクへ。

互いを改めて知るきっかけとなる「他己紹介」から

この島会議に集まったメンバーは全員、神津島村在住。もちろんみな顔見知り。しかしながら、お互いに知ってはいるものの、どういった思いを抱えながら島に暮らし、活動しているのか、なかなか面と向かって話す機会はそう多くありませんでした。島会議の話し合いを始める前に、自己紹介ならぬ「他己紹介」の時間を設け、アイスブレイクを行いました。

他己紹介とは、3人ずつに分かれて5組のグループになり、メンバー同士でお互いのことを質問し合い、後ほど全員の前でお互いを紹介するというもの。

お互いの仕事や活動についてさらに詳しく知るとともに、どういった特技を持っているのかなど、普段なかなか聞けないことを知るきっかけにも。改めてその人となりに触れ、互いに新しい一面を知ることとなりました。さらに互いの活動と思いが重なり合い、共通点を見つける、そんな貴重な機会ともなりました。

ユニークで個性豊かな「コラボレーションアイデア」

5つのグループ毎に、「他己紹介」と併せて「これからの島をもっと魅力的にするためにどうすればいいか」というテーマで、3人それぞれ異なる事業分野を活かしたコラボレーション企画を考え、発表してもらいました。

「島ならではの野菜や魚などの特産品を使った料理教室をゲストハウスで開催」「島のアンテナショップを都内で運営し、島外の人が求人情報や空き家情報などを気軽に知れるように」「漁師とダイビングガイドとともに海へ潜り、魚を食べ、夜は星を見るといった新しいアクティビティ」「メニューの英語化や島内の移動など島の受入体制を整え、外国人に向けた島ツアーを企画」など、メンバーの専門性が出た個性あふれるアイデアが出ました。それぞれ、いま島が抱える課題を反映した、ユニークかつ現実的な企画には、今までにない島の魅力を発信したいという各者の思いがにじみ出ていました。

島の魅力を編集する=それがブランディング。

島会議の話し合いに向け、いい準備運動となった他己紹介を終え、島会議の目的である「島のブランド化」について理解を深めてもらうため、まずは事務局より「ブランディング」についてプレゼンテーションを行いました。

プレゼンテーションでは、「島のブランディングとは、島の魅力を編集すること」とし、島に暮らす人たち自身が「今の延長線上の未来予測」ではなく「理想を具現化する未来創造」に取り組んだ事例として、奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島)の沖永良部島(おきのえらぶじま)の取組を紹介。

島の住民が自ら集まり、主体的に話し合う中でさまざまな分科会が生まれ、他業種での連携が進むとともに、100年先の子孫たちに魅力ある島を受け継ぐための振興計画「Island Plus(アイランドプラス )」を島民たちでつくり上げました。そうした沖永良部島の取組は、先ほどのアイスブレイクでの姿や、「島会議」が目指すものと重なり、参加者のなかには熱心にメモを取る姿も見受けられました。

「グループワーク」で見えてきた島の未来

続いて、会議メンバーが2組に分かれ、各自が未来に受け継いでいきたい「島の魅力、良いところ」を書き出し、話し合いながら1枚の壁新聞にまとめるというグループワークを実施。今から50年後の未来の想定で、島の良さや魅力を残すことができた取り組みを3つのニュースとして取り上げ、実際に壁新聞を作ってもらいました。

Aチームの新聞名は「天上タイムス」。神津島の中央にそびえる、島の代名詞的存在である「天上山」から。金目鯛、天上山、黒曜石、パッションフルーツ、湧き水、方言などが島の魅力として取り上げられました。神津島の基幹産業でもある金目鯛が将来獲れなくなってしまうのではないか、という危機感から発案した深海養殖や、島で昔から採れる黒曜石を使った新技術の発明、子育てにやさしい島の在り方などユニークな視点が特徴的でした。

Bチームの新聞名は「んんだしかい新聞」。「んんだしかい」とは島の方言で「そうだね」「だからさ」など人に話しかける時によく使われる言葉なのだとか。海や山、動物などの島の豊かな自然だけでなく、島に残る神話や伝統行事などの文化的なもの、子どもやお年寄りを大切にする島の住民の関係性までを取り上げ、50年後にも残っていくべきだと3つのニュースにまとめました。

これらの内容を受け、事務局からは「Aチームからは現実に直面している漁業の問題やインバウンド政策の課題、少子高齢化などの問題が取り上げられ、Bチームからは自然保護の観点、観光客の集客、伝統芸能継承や少子高齢化に基づく意見が出た。それはすなわち、残していきたいもの=現状の課題でもあるということ。何を残していくのかを考えることは、今の課題解決の糸口にもなるのではないか」と締めくくりました。

参加者の声

中村 圭さんNPO法人神津島盛り上げ隊

「あまり普段はこういう会に参加しない方にも今回声をかけていたのですが、来ていただくことができてよかったです。今までなかなか話す機会がなかったけれど、率直な話を聞くことができました。みなさん仕事をしている中で、こうした時間をいただくことにとても大変さを感じています。来てくださったことは本当にありがたいとともに、この時間が無駄ではなかったと思えるようにきちんと実を結ばせないといけないなという責任感も同時に感じました」

小林正吾郎さんゲストハウス「シヨウゴロ」オーナー

「ポストイットでアイデア出し合うことは今までもありましたが、壁新聞づくりは初めての体験でした。“50年後にどうなっているか”という先の未来の話だったので、現状の問題点を一度棚上げしたうえで、気楽に意見を出すことができました。近い未来のことだと制約があってできないことも多く、選択肢が狭まってしまいますが、50年後ならそうした制限を取っ払ったうえで、自由に未来を思い描くことができました」

覺正恒彦さん神津島観光協会

「今回の壁新聞の取組は今までになく、とても良い形だったと思います。みんなが一緒になって未来の神津島のあり方について、ざっくばらんにディスカッションすることができ、とても良い時間だったと思います」