REPORT

「第3回島会議」神津島で開催!

12月3日、神津島にある「みんなの別荘ファミリア」のカフェスペースにて、第3回「島会議」が開かれました。その模様をレポートします。

第2回島会議の振り返りからスタート

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取り組む方々が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。12月3日、神津島のB&B(bed and breakfast)方式の宿泊施設「みんなの別荘 ファミリア」のカフェスペースにて、第3回「島会議」を開催。第1回、第2回から引き続き参加している、様々な業種の9人のメンバーが、再び島で一堂に会しました。

はじめに島会議開催の挨拶があり、事業を担当する東京都 総務局 行政部 池野大介事業調整担当課長が「今回のプログラムを通じて、神津島の将来に何が必要なのか、皆さんの力を持ち寄りながら、話をする中で見つけ出していただければと思っています。今までとは違った新たな切り口で、地域ブランド化をしていくために、皆さんのようなやる気のある地域事業者を中心に、一体何ができるのか、そして我々がどのような支援ができるのかを検討していきます。まさに皆さんが主役でこの事業は進んでいくもの」と参加者へ呼びかけました。

ファシリテーター主導のもと、まずは10月に開催された第2回島会議の振り返りを行いました。東京都心の4カ所(渋谷・世田谷・谷根千・清澄白河エリア)で行われたフィールドワークの概要と島の方々からの気づきをまとめ、もう一度共有。さらに、今回の島会議での目指すべき「ブランド」「ブランディング」とは、表層的なイメージではなく、固有の魅力的な個性(=らしさ)であること、また、他とは違う差違や優位性、そのサービスを選ぶ理由となるものを提示していくことが大事だということを改めて強調しました。

島に来て欲しい人=「象徴的顧客像」を考える

第3回島会議の主たる作業は、「象徴的顧客像(ペルソナ)」を島会議メンバーで想像し、人物像を固めていくこと。この「ペルソナ」は、各島でブランドコンセプトを策定していく上でベースとなる大切なもの。強固なブランドであればあるほど、どのようなお客様に支持されているのか明確なものであり、万人に向けたブランディングよりも「この人に共感されたい」「この人に島を好きになってほしい」といったペルソナが明確な方が「島の宝物」がより魅力的に伝わるということを説明しました。

神津島では参加者が2チームに分かれて、150枚の人物写真のイメージカードをもとに、性別、年代、仕事、ライフスタイル、家族構成、趣味、性格、休日の過ごし方、大切にしていることなどを想像しながら、まずは個人で複数枚の写真を選出。そして、「どういう人に神津島に来てほしいか」を基準に写真を1〜2枚程に絞った上でチームのメンバーに共有しました。さらに、「どんな人か」「どんなことを考えている人なのか」を洗い出し、顧客像について議論を重ね、最終的にチーム内で1〜2枚に絞り、その顧客像の詳細設定を付箋に書き出してペルソナを設定しました。

Aチームは、30代の自立していそうな女性の写真を選択し、「葵まりこ」さんと命名。東京出身ですが、自然の残る郊外で生まれ育ちました。現在、37歳・独身でアパレル関係の仕事につき、中間管理職として働いています。そのため時間を自由に使えることから週末を使って静かな場所へ行くことを好みます。沖縄ならば竹富島など、人ごみを避けて少しニッチな場所へ行っています。こぢんまりとした賃貸マンションに住み、「しずく」という名前の猫を飼っています。山に登るのも好きで、好きなブランドはmont-bell(モンベル)。週に1〜2回ほどInstagram(インスタグラム)にアップ、普段はmixi(ミクシィ)を使っています。

ファシリテーターの「このペルソナに決めた一番のポイントは?」という問いに対して、独身女性であることを挙げたAチーム。自分の時間をゆったり楽しむ時間的な余裕がある人で、人当たりもよく、すぐに島になじめる気質であることや、友だちが多く発信力があることなどもポイントとして挙がりました。また、1人でもふらりと島に来てくれるアクティブさを持ち合わせていることも重要なポイントです。続いて「このペルソナが神津島を選んだポイントは?」という問いに対しては、千葉の九十九里浜や沖縄ならば竹富島などの静かでニッチな場所を好み、気軽にすぐ行ける島には行かないことがポイントに挙げられました。

続いて、Bチームは外国人と60〜70代の男女の写真を選択しました。外国人は、旅好きなオーストラリア人で、1週間や1カ月といった長期滞在型の旅を好みます。日本とは季節が逆であることから、閑散期の静かな神津島をゆったりと楽しみたいという思いがあり、リゾート地ではなく、本当の日本を知りたくて、田舎へ行きたいと考えています。また、リタイアした夫婦は、世田谷区の庭付き一軒家に住み、趣味は旅をすること。リゾート地に飽きており、沖縄へ行くよりも北海道・富良野を好みます。マナーが良くこぎれい。子育ても仕事も一段落し、気持ち的にも時間的にも余裕がある人たち。どちらのペルソナにも共通しているのは自然が好きであること、また何もしないことを楽しめる人であることでした。

ファシリテーターの「このペルソナに決めた一番のポイントは?」という問いに対して、外国人については、日本とは季節が逆であることや、日本とは違うカレンダーで行動する彼らに来島してもらうことで、繁忙期ではなく、人のいない静かな神津島をゆったりと楽しんでもらうことができること、またそれがオフシーズンの集客に繋がることが挙げられました。リタイアした夫婦についても、時間に余裕があるので混雑している繁忙期は避けたがる傾向にあり、ゆっくり過ごせるオフシーズンを選んで来島するという設定で、両ペルソナとも「オフシーズンの来島」が重要なポイント。続いて「このペルソナが神津島を選んだポイントは?」という問いに対しては、人がいない静かな時を過ごし、島のリアルな生活や風景を感じられる点が両ペルソナ共通のポイントとして挙げられました。

2チームから発表された象徴的顧客像は全く異なるものでしたが、ここから共通点を探りながら、神津島としての象徴的顧客像を1つに絞っていきます。まずは2チームの象徴的顧客像の共通点と相違点を洗い出していきます。

今までにない顧客像を新たに探っていく

共通点として挙がった意見は「気持ちに余裕がある人」「ゆったりとした時間を楽しめる人」「繁忙期ではなくオフシーズンに来ることを好む」「静寂が好き」「自然が好きな人」「夕日の美しさや波の音で感動できる人」など。一方、大きな属性である「国籍」をはじめ、「性別」「年齢」「未既婚」などの相違点も多々あり、1つのペルソナへ集約することが難しい状態に陥りました。そこで、もう一度個人作業として先のワークで書き出した顧客像の詳細設定の中で、「特に大切だ」と思う付箋に投票することで、具体的な人物像から固めていく作業に移りました。

そこから導き出されたペルソナは、「リゾートではないニッチな島が好き」「愛車で千葉や九十九里に行くような人」「観光ではなく、ゆっくりと島に滞在して暮らすような旅を好む」「行ったり来たり、リピーターになる可能性がある」「夕日で感動できる人。感性が豊かで雨でも楽しめたり、少しくらい不便でもOKな人」という具体的な人物像でした。

以上のような意見が出たところで、独身女性、リタイアした夫婦、外国人の3つの中から、どれが神津島のペルソナにふさわしいか、改めて挙手してもらうと、9人のメンバー中、女性6人、外国人3人という結果に。ただし、ここでは少数派の意見も大切だと言うことで、外国人を選んだ3人に選定理由を聞いたところ、参加者の間に意外な反応が起こりました。

「葵まりこさんのような女性は既に島に来ている」「外国人は日本人とは違うカレンダーで休みが取れ、閑散期に来てくれる」「2020年にはオリンピックもある」「女性だけに限定してしまうより、外国人の方がターゲットとなる対象が広がる」という外国人ペルソナを推薦する意見をきっかけに、他のメンバーも「新たに呼び込みたいのは外国人」と意見が変わり始め、結果、外国人6人、女性3人へと逆転しました。「外国人が来てくれる島になれば、葵まりこさんのような女性も増える」との意見も出たことから、神津島でのペルソナは「外国人」に決定しました。

島に来てもらうために、何が必要なのかを考える

白熱したペルソナ設定のあとは「KFS(Key For Success)」を書き出すワークに。各ペルソナを前提にどうすれば島に来てもらうことができるのか、そのためには何が必要なのかを具体的に洗い出していきます。例えば、「ペルソナが満足するには何が必要?」「ペルソナにとって島でどんな気持ちになることが重要?」そのために「島に足りないもの」や「島にあるもので活用できそうな島の財産」などを具体的に抽出していき、その後、チームごとに発表を行いました。

Aチームは「東京ではない東京があること」「古いけど新しい、新TOKYOを発見できる場所」であると考えました。そのためには、「外国人に向けた魅力的なストーリーを作る」ことや、「英語表記が足りないこと」「外国人に向けたPRや情報発信必要である」と発表しました。

Bチームは「もう一度来たいと思える体験があるかどうか」が大事だと考えました。
「人に教えたくないけど、教えたくなるような気持ちになれる場所」や「何もしないという体験を求めている人」に向けて、「他の島にはないもの」「今までにない自然体験」ができる場所として、ガイドブックには載っていない島民だけが知っているスポットがいくつもあることを発表しました。

しかしながら、外国人観光客が増えることによる宿泊施設の方々の負担や、長期滞在といったニーズに対応できるのかといった問題点も新たな意見として出てきました。「島民自身の意識改革が必要」であり、「求められるおもてなしができるかどうか」が今後の課題となりました。

今回の議論を踏まえて、次回の宿題が発表されました。プロファイリングしたペルソナに、島のメンバーそれぞれが「紹介したい島の魅力」を探し出し、島の宝物となる場所やものの写真を実際に撮影してもらうこととなりました。

参加者の声

古谷 亘さん(自然ガイド「Full Earth」)

「やっと先が見えて来ました。顧客像がそれぞれバラバラだったのがだんだんと一つになっていく作業がとても面白かったです。AチームとBチームのペルソナが大きく違いましたが、ベースとなる共通項があったので、そこを拾って行くと、みんなだいたい考えていることは同じなんだなということが分かりました。インバウンドという方向性が見えて来たので、それに向けて、自分でできることは何なのか。もう少し具体的に考えながら今後進めて行きたいなと思います。」

田中 健太郎さん(みんなの別荘ファミリア)

「結論、インバウンドになって驚きました。僕はもともと外国人の方に来ていただきたいと思っていましたが、反対なんじゃないかな?と思う方も賛成してくれたり、意見が変わったりしたのでビックリです。ここからが大変そうではありますが、やりがいがあるなと思っています。第1回、2回の島会議を経て、このメンバーはどんどん言いたいことが言える関係性ができてきているので、いいものができそうな気がしています。どこかにありそうなインバウンドじゃなくて、神津島ならではのものにしていきたいです。」

浜川 一生さん(漁師)

「最初始めたばかりの頃はどこへ行くのか検討もつきませんでしたが、第3回目が終わって、道筋が見えてきました。ターゲットが具体的になってきて、ブランド化していくべき方向が見えてきた。第1回東京宝島会議に参加して、他の島からも100名近く参加されていて、責任感を持ってやらないといけないなと思いました。島会議が終わってもどんどん発展して、神津島だけではなく、全島一丸となってこの事業が成功するといいなと思っています。」