REPORT

「第4回島会議」神津島で開催!

12月26日、神津島にある「みんなの別荘ファミリア」のカフェスペースにて、第4回「島会議」が開かれました。その模様をレポートします。

前回の振り返りと第4回島会議のゴールの共有

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取り組む方々が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。12月26日、神津島のB&B「みんなの別荘 ファミリア」のカフェスペースにて、第4回「島会議」を開催。年末の忙しい合間をぬって、様々な業種の8人のメンバーが集まりました。

ファシリテーター主導のもと、まずは今回の第4回島会議のゴールについての説明がありました。

「今回の第4回島会議のゴールは、前回までに皆さんで設定した象徴的顧客像(ペルソナ)に対して、どんな価値を提供するかを考え、具体的なアクションプランに落とし込むところまでを考えること」だと伝えました。

また、島会議そのもののゴールについても「島会議の目的は、素晴らしい景観や価値といった島の宝物に対して本質的な魅力を掘り下げてコンセプトを作り、それを体現するモノやコトや場を磨き上げたり組み合わせたり新たに作り出すなどして、国内外の市場・顧客・事業者に向け発信すること」との説明があり、参加者は改めて目的意識を共有しました。

続いて、第4回島会議のゴールである、ペルソナに提供したい価値とアクションプランを企画するにあたり、「誰に」「どんな価値を提供する」「(ひとことで言うと)何なのか」というブランドコンセプトの基本となる要素を解説。強いブランドコンセプトの例として、スターバックスコーヒーの「The Third Place」というコンセプトから様々な商品やサービスが生まれてきたことを解説。コンセプトが定まっていると、色々なアクションを考える時にその方針が固まりやすくなることを伝えました。

次に、2018年11月に開催された第3回島会議の振り返りが行われました。前回は、島の価値を伝えるターゲットとなるペルソナが神津島に求めるもの、キーワード、ポイントを考えていきましたが、その内容を今回の参加者で振り返ります。今回はペルソナに対して、具体的なアクションプランを考えるところまでがゴールとなるため、ペルソナを再確認していくのはとても重要な時間です。

参加者が考えるペルソナに伝えたい“島の宝物”は?

前回設定した神津島のペルソナは、「30代の外国人カップル(ボブとアンジー) 」。第4回島会議の主たる作業は、このペルソナに対して、具体的なアクションプランを考えること。

その手掛かりとなるのは、「ペルソナに伝えたい島の宝物」。ここで、宿題となっていた「島の宝物(モノ、コト、場所、その他)」を撮影した写真と、写真を紹介するためのワークシートについて、参加者が1人ずつ発表していきました。

ファシリテーターは参加者の発言を聞きながら「それでペルソナはどんな気持ちになる?」「ペルソナにとっての価値は?」と尋ね、参加者の発言の中でキーワードとなる言葉を付箋に書き出して壁に貼り付けながら、宝物や価値を可視化させていきました。

例えば、神津島といえば天上山が有名ですが、昔の採石場として知られる「神戸山」はガイドブックには掲載されておらず、今までに見たことがない絶景が広がっています。同じく、漁師しか知らないスポットである「神鼓(かみつづみ)」「このくち」と呼ばれる海からしかアクセスできない場所は、小さな船でしか行けない、まさに秘境。また釣りが好きな島民たちが行く知られざる崖下にあるスポットなど、まだ知られていない場所や映画に出てくるような絵になる場所があることも、島の大きな魅力の一つになり得ます。

島民しか知らない、知られざる場所の他にも、ガイドブックに載っている有名なスポットであっても過ごし方一つで印象がガラリと変わってきます。例えば、「前浜」、「多幸湾」、「千両池」といったスポットは、マップにも載っているので誰でもアクセスが可能ながら、雄大な時間の流れを感じられ、ぼーっと過ごせて無心になれる場所だという意見も。ほんの少し時間を忘れて過ごしてみるだけでも、いつもとは違った時間や感覚を取り戻せるはずだと発表しました。

同じく「多幸湾」を紹介した方は、来島した際、その景色に圧倒された一人。「島自体が国立公園であり、それこそがブランドなので、ゴミひとつない自然保護が徹底している島を目指していけば、『すごい』を超えた感動を生む」と紹介。多幸湾から湧き出る水から島の酒もビールも生まれていることも、島の「神がかっている」魅力の一つなのではと発表しました。

また、Iターンの方は、神津島に今も残る伝統的な漁村文化に価値があるのではないかと紹介しました。漁師民宿で供される魚づくしの夕食や、色とりどりの天草を干しているのどかな風景、神津島だけで食されるウツボの干物が風にたなびく風景など、島民にとっては日常の風景でも観光客にとっては全てが新鮮に映ります。神事「かつお釣り」も毎年開催されており、生活に魚が密着しています。そうした伝統的で素朴な漁村の景色こそ神津島らしさではないかと発表しました。

また、現在、観光客向けに開催している星空観察会を外国人が楽しめるように英語ガイド付きで、夏はハンモック、冬は寝袋に入りながら星空を眺めるといった提案も。「星空を眺める時間に言葉は不要であり、また東京や大阪などの都市部に行ったことがある外国人は賑やかな夜は知っている。つまり、神津島でならば静かな夜を体験してもらえる」という意見が出ました。

「神」というキーワードをどう捉えるか

参加者それぞれが持ち寄った島の宝物や、そこから導き出された様々なキーワードをファシリテーターがもう一度見回していくと、島の名前にもある「神」から導き出された「神の恵み」という言葉がキーになるのでは?と参加者に対して意見を求めました。

例えば、漁村の文化や漁業など、島の生活を支えている営みも「神の恵み」であり、神津島の至る所に残っている「神」にまつわる神話や神事、地名なども「神」の文脈として伝えることができます。神津島の湧き水も「神の恵み」であるし、神々しい景色や神秘的な風景なども「神がかっている」。島の宝物は全て「神の恵み」と言えるのではないかと言うファシリテーターからの問いかけに、参加者からは様々な意見が出ました。

神津島を語るのに欠かせない「水配りの神様の伝説」の神話はありつつも、「神」という言葉から神道や神話、一神教の神などを連想するという意見がある一方で、自然への敬意や日本的宗教観、八百万(やおよろず)の神なども「神」なので、そうした意味の方が一般的なのではという意見も。また、「神ってる」「神対応」などに表現される「神」は軽い意味で気軽に使いやすいという意見もあれば、もっと神聖なものとして使いたいという意見も出ました。

そこで、各自の思いや考えを可視化するため、参加者各自に4つのシールを配布し、壁面に貼られた付箋の中で大事だと思うキーワードに投票を実施しました。その投票の結果、島に息づく「漁村文化」や「神秘性」といったキーワードをはじめ、「歴史的なストーリー」、「現代社会から切り離された体験」といった神津島を体現する宝物への投票や、「幸せの意味を考える」といった宝物に接したペルソナの気持ちに票が集まりました。

島ならではのアクションプランを考える

続いて、「島ブランド・コンセプトシート」を作成していきます。「ブランド価値の中で特に大切な要素」「ブランド価値を支える事実・特長」を各自3つずつ付箋に記入し、模造紙の「島ブランド・コンセプトシート」に貼り出していきます。

ブランド価値の大切な要素として「場所や景色の神秘性や神々しさ」、「海や山の恵みを『いただきます』という感謝の気持ち」、「幸せの意味を考える時間」、「自分の原点を思い出す場所」、「本当の神津島を感じるところ=驚きの体験」、「人を拒絶するような景色」などが挙がり、ブランド価値を支える事実・特長に、「ヒト」としては「宿の人」、「モノ」としては「ところてん」、「コト」としては「東京都の漁村文化(信仰心も含めた)」や「海の恵み」、「バ」としては「多幸湾」、「このくち」などが挙がりました。

上記のようなブランド価値を踏まえて、ペルソナにとってどんな体験や場を作っていくと島の価値を伝えられるのか、「アクションアイデアシート」に各自アイデアを書いて、発表を行います。

島民でもなかなか行かない所などに船などで行き、希少、非日常、冒険的な時間を過ごす「某映画の“アレ”ツアー」、船やカヌーなどに乗り、なるべく人力で島を一周する「神津島を一周する旅」、島へ来てもらうためのアプローチとして「金目鯛のエコ認定」や、スマホを手放して島を巡る「デジタルデトックス体験」、漁船に一緒に乗り、金目鯛漁を体験し、市場に卸して箱詰めなど流通も体験できる「漁業体験ツアー」、かつお釣り神事を一緒に体験できる「体験やっし」などのプランが発表されました。

ファシリテーターより、「それぞれのアイデアには大きく2つの共通点がある。神津島の雄大な土地を周るツアーと漁業を中心としたツアー。それぞれ近しいもの同士を組み合わせていくと、よりツアー内容が充実していくのでは」との提案を行い、この日のプログラムは終了しました。

今後は、ファシリテーターとも相談しながらアクションプランを作成。1月29日に開催される第2回東京宝島会議の場で神津島の島会議発のアクションプランを中間発表します。

参加者の声

中村 圭さん(NPO法人神津島盛り上げ隊・地域コーディネーター)

「今は神津島に住んでいる僕が、住むと決めて来島した時に島に感じた“何か”を言語化するような作業でした。島にある神秘性や神々しさということに、もう一度気づくことができて良かった。これからそうした言語化できないものをいかにしてブランド化していくか、具体的なアクションプランを皆で話し合うことができて、方向性が見えた気がしています。今後、より良く繋がっていきそうな手応えを感じられました」

小林 正吾郎さん(ゲストハウスショウゴロ)

「今日は僕たちIターン者が言うのではなくて、漁業関係者から漁業体験ツアーをやりましょうと言ってくれたのですごく嬉しかったです。この島会議自体が観光に携わっている人だけでなく、漁師や漁業関係者たちも参加してくれることがとても大きいと思います。観光業者だけで『漁業体験ツアーをやろうよ』と言っても実現できていないのが現実なので。とはいえ、漁師さんたちの手間がすごくかかることではあるので少しずつ進めていければ」

石野田 涼さん(神津島村商工会青年部所属、山長水産)

「2回目の参加で、始めはわからないことばかりでしたが、後半は自分で発言することができました。自分の言葉だけだと伝わりにくいこともあったけれど、みんなにまとめてもらえて、最終的にちゃんと自分がイメージしているものにできたのが良かったなと。島の人だけで自分の言いたいことを言ってもこういう議論にはならないので、このような機会があって良かったです」