REPORT

「第5回島会議」神津島で開催!

2019年2月13日、神津島にある「まっちゃーれセンター会議室」にて、第5回「島会議」が開かれました。その模様をレポートします。

まずは第2回宝島会議の振り返りから

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取り組む方々が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。今年度最終回となる第5回目が、2019年2月13日、神津島の前浜港船客待合所内にある「まっちゃーれセンター」の会議室にて開催され、8人のメンバーが集まりました。

まずは、1月に東京で開催された第2回宝島会議の振り返りと共有が行われました。神津島のプレゼンテーションに対して、ゲストアドバイザーから様々なアドバイスがあったことを報告し、第2回宝島会議に出席できなかった参加者にも内容を共有しました。

ゲストアドバイザーからは、当初のペルソナに設定した「オーストラリア人」に限定することなく、「まずは、日本在住の外国の人たちや日常的に日本の食に触れている方、日本の文化や言葉に理解があり、日本をある程度知っている人たちの方が来島しやすく、また受け入れやすいのでは?」というアドバイスがあったことが、ファシリテーターから報告されました。

ここで参加者の一人が、実際には完全な外国人だけにペルソナを絞ることにやや不安があったことをメンバーに相談したところ、他の参加者からも「ゲストアドバイザーのアドバイスを参考にすべきだ」という意見が出たため、神津島のペルソナは「すでに日本の文化に親しみをもつ、都内で暮らす外資系企業勤務の人や大使館勤務の人など」と新たに設定し直しました。

続けて、島の宝物について、ゲストアドバイザーより「魚を推しすぎてしまうと、魚しか食べられない場所だと思われてしまうため、旅先の候補として落とされる可能性がある」と指摘されたことや、「神津島に残る神話について、『神様』の解釈が国により異なるため、神話で語るのではなく誰でも楽しめるストーリーとして語ることが大事である」という意見があったことを報告しました。

また、コンセプトに据えた「ありのままの世界と上手に付き合う」という表現が分かりづらかったというゲストアドバイザーからの指摘を踏まえ、参加者で再考することとなりました。ファシリテーターが「島へ行きたいと考える潜在的顧客にとって、入り口となるキーワードは何がふさわしいか」と問いかけると、参加者からは、湧き水はもちろん、水の神話、水を生み出す自然や地形、美しい海、そこで営まれる漁村文化、水から生まれる酒やビールなど、神津島の宝物には水が関わっているとし、「『水』が神津島を象徴しているのではないか」という意見が出ました。

そこで「水」を神津島のコンセプトの中心に据えるという新しい軸を元に、最終的なアクションプランを考えることになりました。

神津島を象徴する「水」を入り口に

ファシリテーターの「水を何という言葉で表現するか」との問いかけに対して、参加者からは「アクア」や「アクアアイランド」、「アクアスケープ」、他にも「オアシス」や「水の生まれる島」といった言葉が挙がりました。

他にも「水」という言葉以外で島を表すキーワードがないか、参加者でアイデアを出し合いました。ある参加者からは「リセットできる」「リセットする」という言葉や、他にも「真っ白」「水宝島」というキーワードが出ました。しかし、「夏以外にも通じる言葉がいい」という参加者の意見から、「アクア」は夏のイメージがあるため、他の言葉で考え直すことになりつつ、意見が煮詰まってきたので、頭を切り替えるためにアクションプランの考察へ移りました。

「水」をテーマにアクションプランを考え直す

会議中、ファシリテーターより「ガストロノミー」の話題が提供されました。ガストロノミーとは、美食に関する学術的な概念。その土地の背景や文化を含めて食を味わうことで「本当の食」とも呼ばれています。例えば、島を自転車で回りながら訪問する先々でその土地の美味しいものを食べるなど、「ガストロノミーツーリズム」という新しい旅の形が世界中にあり、とても観光と相性が良いとのこと。こうした考えも参考にしながら、神津島ならではのアクションプランを再考することになりました。

現在のアクションプランである「東京漁村体験ツアー」については、「水を中心に考えると、少しずれていると感じる」という参加者の意見も。そこで、「名前を変えるのか?」「発想を変えるのか?」など、このアクションプランをブラッシュアップすることも含めて、参加者がそれぞれ「水」を中心にしたアクションプランを考えてみることになりました。

いくつかの体験プランの内、「食」を中心にしたプランも多く、メンバー内で参考になる事例について共有がありました。例えば「水を食す」和菓子として有名な山梨県「金精軒」の「水信玄餅」。南アルプスの天然水と寒天を使った和菓子は、賞味期限が30分と短く、その場で食べるしかない売り切れ必至の話題商品で、神津島の水と天草を使えばこうした商品を作ることができるのではないかと盛り上がりました。

他にも「神津の水定食」と題し、水が関わっている料理を盛り込んだ定食メニューを考案。例えば、神津島の水を使えば、あえて安価な米で炊いた白米も水の美味しさを際立たせ、地海苔の味噌汁、金目鯛のしゃぶしゃぶ、自生するクレソンや明日葉のサラダ、デザートにはところてんや湧き水を使ったかき氷に神津島名産のパッションフルーツなど、水にまつわる食材を一度に食べることができるというユニークなアイデアも飛び出しました。

また、島を代表する酒や多幸湾の湧き水、魚といった「島の水スポット」を巡るためのガイド本や、外国人向けに指さし確認もできる『水巡りマップ』制作という、体験を重視したアイデアも出ました。このガイド本では、湧き水ポイントや漁師に会える時間や場所などの情報に加え、温泉などのレジャースポットを掲載することで、ふらりと島に遊びに来た人が自由に島を巡ることを目指します。

一方で「水に固執しすぎるあまり、今まで議論してきたアイデアはどうなるのか」という指摘もありましたが、「湧き水巡りや美味しい水で作った料理の提供、漁師しか行けない『神鼓(かみつづみ)』へのツアーもいわば『水のツアー』。今まで考えてきた様々なアクションプランも『水』を核にして文脈が作れる」と着地点を見出しました。

様々なアイデアをファシリテーターがまとめ、「それぞれのアイデアは組み合わせてみると、『漁村体験ツアー』に集約できるものも多いのではないか。そもそも、「水」を通して伝えたいことは、神津島にある漁村文化や自然。全て同じような物語で語れるのではないか?」と提案。

そこから参加者の議論は深まり、「水定食を食べた人の中には『金目鯛をどう獲るのか?』『明日葉はどこに生えているのか?』など食材ごとのストーリーを知りたくなる人もいるかもしれない」「観光客の興味がどこに分かれていくかはお客さん次第で、明日葉を摘んでみたい人、金目鯛を捌いてみたい人、実際に漁に行きたい人もいるかもしれない」など意見が交わされ、最終的には、「漁、自然、食、水、神話など、水にまつわる体験メニューの中から参加者自身で自由に組み合わせられるアレンジツアー」というアクションプランが誕生しました。

一方で「実際に運用となると難しい現実もある」という意見も。そこで、ファシリテーターからは「そうしたユーザー体験から生まれた発想を、実際にどうやって設計し、運営していくか」ということが次なる課題だと伝えました。そこで具体的な方法を考えるため、大きく分けて「金目鯛を軸にしてツアーを作っていくこと」と、「マップを作り自分で体験を選べるようにすること」の2つのアクションプランで組み立てていくことになりました。

また、「漁や市場体験、星空観察などは、荒天などの気象状況によりツアーの一部が体験できない可能性もあるが、その場合はどうしたらいいか」というメンバー内の疑問に対して、「そうした自然現象は当たり前のことで、漁に出れなくても、すでにある魚を捌くことはできる。その時々で内容を一部変えながらツアーを組み立てることはできるかもしれない。むしろツアー内容のすべてを体験できなくてもいい」とチーム内で意見がまとまりました。

一つではなく、二つで補完するというアイデア

ツアーの内容については、気象状況により必ずしも毎日催行できるとは限りませんが、魚が獲れない時期でも、見学や一部の体験はできるように設計したいという意見や、ツアーの中身によっては、その場で申し込める方がユーザー目線では良いという意見が出たことにより、まず一番できそうなことからやってみようという意見にまとまりました。

また、外国人対応として、「全宿泊施設に『指さし英語』の冊子を配れたらスムースに話ができるのでは?」という意見に対して「すでに島内で配っているが活用されていない」という現状が共有され、この部分を担うマップ制作について、思わず手に取って使ってみたくなる仕掛けをどう作るか、今後の課題が見えてきました。

最後に、ツアーとマップの2チームで分かれて、アイデアをさらにブラッシュアップ。具体的な内容にしていきます。

マップチームからは『神津島の歩き方』という冊子の提案がありました。体験ツアーの紹介に加え、島民の中には外国人を受け入れるのに及び腰の人がいるため、島の中での作法を記載し守ってもらう機能をもたせ、水にまつわる話を盛り込みます。併せて宿に貼ってもらうポスターとマップ、それに音声翻訳機「ポケトーク」を島民に配布すれば、コミュニケーションが円滑に回るのでは、という3点セットのアイデアも。昔話の編集や看板の英訳などは、引き続き話し合いが必要ということで、今後の課題として共有されました。

ツアーチームからは、季節、天候、お客さんのニーズによって選べるようにカスタマイズできるような仕組みを考えたいという意見が出ました。「魚を捌くことや、食事などは受け入れ態勢として大掛かりなツアーになるので、できそうな部分のみ対応していく。漁体験は、金目鯛だけではなく、ウツボ、たっか(かに)、伊勢海老などが一年を通して体験できる。選別は市場、箱詰めは仲買、魚さばきは「まっちゃーれ」の2Fで対応、婦人部に協力してもらう。伝統を伝えるには、動画を流したり、マップにコラムを掲載したり、話をしたりすることで伝えていく」と話しました。

以上の共有を元に、神津島の水文化を伝えるマップと、水にまつわるツアーの2本柱で神津島のアクションプランはまとまりました。

参加者の声

浜川 一生さん漁師、神津島漁業協同組合

「最初は何をやったらいいか全然わからなかったけど、やっと“核”というか“幹”ができたというか。それができたことで方向性が決まってきたと感じています。来年はもっといい方向に行ければいいかなと思うけれど、まだ手探り状態ですね。個人的なことを言えば、漁業関係者に直接的な利益はないかもしれません。でも島全体でプラスになって、より良くなればいいなと思ってやっています。」

覺正 恒彦さん神津島観光協会

「すべての島会議に参加したわけではありませんが、全5回を通して一つの成果が見えました。それは半年前に島会議がスタートした時に僕たちが思っていたところに近づいているかといえば、まだまだ途中かもしれません。けれど、今日で一旦終わり、一つの節目を迎えましたが、これからも続いていくという期待が生まれました。」

石野田 涼さん神津島村商工会青年部所属、山長水産

「何回か話をしてきていろいろなアイデアが出て、これは絶対に一人ではできないこと。そもそも、こうやって島のみんなで集まる機会がないし、そのことがすごくよかったと思う。やっと固まってきて、いろいろ見えてきたかなと思うので、このままもっと話し合えたらいいなと思いました。そしたらもっといろんなアイデア出ると思う。一旦今日で終わりですけど、まだ続けたいなと思います。」