REPORT

「第3回島会議」三宅島で開催!

11月29日、阿古港船客待合所「ココポート」2階会議室にて、第3回「島会議」が開かれました。その模様をレポートします。

第2回島会議の振り返りと今の参加者の気持ちの共有

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取り組む方々が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。11月29日、三宅島では阿古港船客待合所「ココポート」2階会議室で第3回「島会議」を開催。第1回、第2回から引き続き参加している、様々な業種のメンバー10人が集まりました。

ファシリテーター主導のもと、まずは10月に開催された第2回島会議の振り返りを行いました。東京都心の4カ所(渋谷・世田谷・谷根千・清澄白河エリア)で行われたフィールドワークの概要と島の方々からの気づきをまとめ、もう一度共有。さらに、今回の島会議での目指すべき「ブランド」「ブランディング」とは、表層的なイメージではなく、固有の魅力的な個性(=らしさ)であること、また、他とは違う差違や優位性、そのサービスを選ぶ理由となるものを提示していくことが大事だということを改めて強調しました。

そして、今回の議題に入る前に、今の想い、気持ちを共有するための時間が設けられました。全員の顔が見えるように輪になって座った参加者からは、島のブランド化に対する期待と不安が入り混じった気持ちやこの事業の最終ゴールへの理解度、また最終的なアウトプットそのものを見据えた意見が挙がりました。こうした参加者からの意見を受け、ファシリテーターから改めて島会議のゴールについて説明がありました。

「最終的なゴールが明確だったら、皆さんが集まる必要はありません。ゴールが見えないからこそ、皆さんで集まって議論していく必要があるのです。ゴールは半分あって、半分ないようなもの。一つはこれからの三宅島の魅力・コンセプトは何なのかを皆さんで考えるということ。もう一つは、その先、例えば来年度以降、ここで話し合った考え方に基づいて次のアクションが生まれるということ」

上記のコンセプトやアクションの決定に際し、様々な立場の方が集まり、意見を交わすことが会議の前提であり、また、次年度以降のアクションプランも含め一緒に考えていくことを説明し、参加者とファシリテーターの気持ちが共有できたところで、いよいよ今回の目的である、ペルソナ設定のためのワークが始まりました。

2チームに分かれて「象徴的顧客像」を考える

第3回島会議の主たる作業は、「象徴的顧客像(ペルソナ)」を島会議メンバーで想像し、人物像を固めていくこと。この「ペルソナ」は、各島でブランドコンセプトを策定していく上でベースとなる大切なもの。強固なブランドであればあるほど、どのようなお客様に支持されているのか明確なものであり、万人に向けたブランディングよりも「この人に共感されたい」「この人に島を好きになってほしい」といったペルソナが明確な方が「島の宝物」がより魅力的に伝わるということを説明しました。

三宅島では参加者が2チームに分かれ、「象徴的顧客像=ペルソナ」を探るワークを実施。様々な人物のビジュアル写真をもとに、性別、年代、仕事、ライフスタイル、家族構成、趣味、性格、休日の過ごし方、大切にしていること、島や旅行に求めることなどを想像しながら、三宅島の顧客像の候補となるビジュアル写真を1人1〜3枚ほど選んでいきます。そして、「こういう人に島に来て欲しい」「現実的にこういう人いるよね」という2軸を意識しながら、チーム内でビジュアル写真の絞り込みを実施。

その後、最終的に各チームで1〜2枚に絞り込みながら、顧客像の詳細な人となり、プロフィールを設定していきます。絞り込まれた顧客像が、旅や島に求めることは何なのか、具体的なイメージをさらに深掘りしていく作業を行い、その内容をチームごとに発表しました。

Aチームは父・母・子どもの親子と祖父母の3世代の写真を選択。共に30代後半の両親と小学校3〜4年生くらいの子どもの親子は、東京都世田谷区二子玉川在住で、比較的裕福な家庭。子どもはスポーツをやっていて乗り物好き、両親は詰め込み型ではなく、自主性を尊重する大らかな教育観を持っています。祖父母は海がない長野県に在住ですが、かつて離島ブームの際に三宅島に行ったことがあります。親子は祖父母の家に遊びに行くことが多く、畑などの土いじりは慣れているが、海には馴染みが薄いため、祖父母から三宅島の話を聞き、船旅を楽しみながら、三宅島に行こうという計画を実行するというかなり詳細なストーリーまでを設計。

続いて、Bチームからは2つの顧客像を発表。1つ目は男性の写真。30代独身でかつては精力的に働いていたが、現在はフリーランスなど、働く場所を選ばない仕事の仕方をしている人。友人は少ないが、仕事上の繋がりによる知人が多い。コーヒー、サイクリング、アウトドアなどが好きというプロファインリング。

2つ目は、20代後半〜30代前半の女性の写真。独身で一般企業に勤務しており、人との交流が好きで、1人旅もできる人。趣味は旅行(複数の島にも行ったことがある)やヨガなど。自然、スポーツ、染物、ハーブティーが好き。ゲストハウスなどを渡り歩き、無駄遣いはしない節約家ではあるものの、自分が価値があると感じたものにはしっかりとお金を使うことができる、発信力が高い人と発表しました。

チームごとに発表した象徴的顧客像には、「島の人たちとの交流(島の文化、自然、人と関われること)」や「荒削りでプリミティブな非日常感(人間本来の身体感覚が目覚めるような自然体験)」「1人でも楽しめること」「季節を感じる」「普段着の島を見る・体験する」など、それぞれ島に求めることも設定されていて、その中のキーワードも含めて両チームの顧客像に対する共通点と相違点の洗い出しを実施。

活発な議論を経て、「島に対する期待が概ね自然(自然の中で過ごす、何かをする)」「荒削り感・ありのまま・普段着というキーワードにあるニュアンスの近さ」「人や文化に触れることでまた来たいと思う動機」「一人ひとりが楽しむ・過ごせることが重要」という共通点が挙げられました。一方で相違点としては、「家族と独身」「観光目的と移住目的」というように、顧客像に対する設定が両極端にある点が着目されました。

「象徴的顧客像」の絞り込みと具体的な人物像設定

発表後、ファシリテーターからの「キーワードとして面白いと思ったのは、荒削り感や普段着の島。今、3つある象徴的顧客像を1つにまとめるか、それとも複数の視点を持つのか?」という問いかけを契機に2チームが合同となり、より具体的な人物像を描くために、活発な議論が交わされました。

「Bチームから出た独身男性の顧客像は、仕事をするためのいい環境があって、魅力的な自然があれば島に来るかというとそうではない。他の島・地域にも行く。どんな想いを持って、三宅島に関わってくれるのかということが大事では」「島への想いがなければ顧客像としては成立しない。どうしたら想いを持ってくれるのか。そう考えると入り口となる視点は観光なんじゃないか」「三宅島のブランド視点で言うと、顧客像は広く浅くではなく、どれだけシャープに的を絞った設定ができるか。そう考えるとAチームの家族という設定は広く、浅くになってしまうのでは」。想定される3つの顧客像に対して、チームの枠を越えた議論が行われる中、「まずは三宅島に来てもらう。島を知ってもらうことで、島への想いを持ってもらえるのではないか。そう考えると、Aチームの家族あるいはBチームの女性がペルソナになるのでは。来てもらうことをきっかけに、あるがままの自然といった価値観を魅力として感じられるファンが生まれるのでは」という意見に参加者みんなが納得。

さらには、「Aチームの家族で来た子どもが大きくなって、Bチームの男性のような大人になるのでは。そう考えると原体験、自然と触れられる生活があるということを、これからの取組でいかに熟成させていくかは重要ではないか」といった意見も飛び出し、三宅島のペルソナは現時点では、Aチームの3世代家族とBチームの女性の2つにすることに決定。
ファシリテーターからはペルソナ設定のまとめとして、「改めて、これからの議論を進めていく上で、よりシャープにエッジを効かせた三宅島ブランドを作っていき、そこでなら自分のお金を使ってもいいと思わせるような価値を提供することが大切。今ある島のリソースを大切にしながら、新たにどういうものを生み出していくべきか、ということを具体的にまとめていく必要がある」といった呼びかけがあり、参加者全員が今後の取組に向けて、ペルソナという共通する視点を持つこととなりました。

ペルソナが島に求める「体験」とは?

その後、「KFS(Key For Success)」を書き出すワークに。各ペルソナを前提にどうすれば島に来てもらうことができるのか、そのためには何が必要なのかを具体的に洗い出していきます。例えば、「ペルソナが満足するには何が必要?」「ペルソナにとって島でどんな気持ちになることが重要?」そのために「島に足りないもの」や「島にあるもので活用できそうな島の財産」などを具体的に抽出していき、その後、チームごとに発表を行いました。

Aチームの家族というペルソナについては、「また来たい、夏以外にも来たいと思ってもらうこと」「荒削りな自然を実感できること(火山の島)」「体験や人との交流」がペルソナの視点としてあるのではという意見が出ました。そのために島で必要なことについては、「着地型体験メニュー(島に来てから何をするか考えられること)」「“何もない”をどのように価値化するか」などが挙がりました。

Bチームの女性というペルソナに対しては、ペルソナが島に求めることとして、「島に居場所・役割がある」「体験や人との交流」「雨の日でも楽しみ方を見つけられること」などが挙がり、島の課題・必要なこととして「外の人と島の人を繋げられるコーディネーターやツールの存在」「例えば季節の野草のように、島の人にとっては当たり前でも、島外の人には新鮮なことを言語化すること」「島に暮らしていないと分からないディープスポットを紹介できるもの」などの意見が出ました。

議論を終えて、ファシリテーターからは「どちらのペルソナにも体験というキーワードがあり、その体験も深いというよりはライトにフラッと島に来てもできるというイメージがあった。島に来た人が、自分も島に参加しているという役割を感じられるか。そういう意味で、「居場所・役割がある」というのはキーワードとしても面白い」と講評。

最後に、これらの内容を踏まえて、次回の宿題が発表されました。今回、プロファイリングしたペルソナに、島のメンバーそれぞれが「紹介したい島の魅力」を探し出すこと。島の宝物となる場所やものの写真を実際に撮影してもらうこととなりました。

参加者の声

沖山 有紀さん(民宿 夕景)

「今日の議論は難しかったです。島会議としてのゴールに対しての不安ではないのだけれど、例えば1つの商品をつくるというのであれば、とても分かりやすい。でも、ブランド化というすごく抽象的な内容に対して、何を考え、どうしていけばいいのか分からない部分がある。自分は宿をやっているが、島外のお客さんを呼ぶということを考えると、どうしても自分の宿のことを考える。宿に来て、お金を落としてもらうということは、宿以外の機能であるアクティビティの充実などが必要。そう考えると、どこまで理想的な話をしていいのか。今の村の現状なども考えながら、現実的に話すべきなのか。今日の議論で出ていたあるものを使いましょうというのは、すごく現実的だと思うけれど、一方でそれをどうやって価値として対価を得ていくのか。そういったことを考えていて、とても難しく感じました」

佐久間 通江さん(アトリエ フルール アクア)

「1回目、2回目の島会議に比べて、今日の4時間で大体何を目指すのか見えてきたように思います。最初の頃は、何かモノをつくらなければいけないのか、それとも島に人を呼び込むのか、どちらなのか分からなかった。でも、今日の議論を経て、何となくだけど、求めていくものがどういうものなのか見えてきたように感じます。結局、商品をつくって外に出すことよりも、外の人に島に来てもらえるようになりたい。確かに、三宅島のお土産物は少ないけれど、モノは通信販売でもどこでも買えるし、簡単に手に入る。行ってみないと見えないもの、感じられないものを島の価値として、たくさんの人が来てくれるといいなと思います」

西田 圭志さん(漁師)

「3回目を終えて、ちょっと具体的になって来たかなと感じています。自分自身は漁師をやっていて、4年間この島を見てきて、三宅島の魅力は同じ東京の島でも大島や八丈島のように観光地ではないところだと思います。三宅島ならではののんびりしたところもある一方で、ある意味では厳しい面もある。そういう部分が個人的には好きで、そんな三宅島を好きな人が、この取組を通じて増えてくれたらいいなと思っています」