REPORT

「第4回島会議」三宅島で開催!

12月13日、阿古港船客待合所「ココポート」2階会議室にて、第4回「島会議」が開かれました。その模様をレポートします。

第3回島会議の振り返りと、第4回島会議のゴールの共有

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取組む方々が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。12月13日、三宅島では阿古港船客待合所「ココポート」2階会議室で第4回「島会議」を開催。第1回から引き続き参加している、様々な業種のメンバー6人が集まりました。

ファシリテーター主導のもと、まずは今回の第4回島会議のゴールについての説明がありました。

「今回の第4回島会議のゴールは、前回までに皆さんで設定したペルソナ(象徴的顧客)に対して、どんな価値を提供するかを考え、具体的なアクションプランに落とし込むところまでを考えること」だと伝えました。

また、島会議そのもののゴールについても「島会議の目的は、素晴らしい景観や価値といった島の宝物に対して本質的な魅力を掘り下げてコンセプトを作り、それを体現するモノやコトや場を磨き上げたり組み合わせたり新たに作り出すなどして、国内外の市場・顧客・事業者に向け発信すること」との説明があり、参加者は改めて目的意識を共有しました。

続いて、第4回島会議のゴールである、ペルソナに提供したい価値とアクションプランを企画するにあたり、「誰に」「どんな価値を提供する」「(ひとことで言うと)何なのか」というブランドコンセプトの基本となる要素を解説。強いブランドコンセプトの例として、スターバックスコーヒーの「The Third Place」というコンセプトから様々な商品やサービスが生まれてきたことを解説。コンセプトが定まっていると、色々なアクションを考える時にその方針が固まりやすくなることを伝えました。

次に、2018年11月に開催された第3回島会議の振り返りが行われました。前回は、島の価値を伝えるターゲットとなるペルソナが三宅島に求めるもの、キーワード、ポイントを考えていきましたが、その内容を今回の参加者で振り返ります。今回はペルソナに対して、具体的なアクションプランを考えるところまでがゴールとなるため、ペルソナを再確認していくのはとても重要な時間です。

参加者の考えてきた“ペルソナに伝えたい島の宝物”は?

前回設定した2つのペルソナは「20代から30代前半の独身女性」「30代後半の子育てファミリー」。第4回島会議の主たる作業は、このペルソナに対して、具体的なアクションプランを考えること。

その手掛かりとなるのは、「ペルソナに伝えたい島の宝物」です。ここで、前回の宿題として課された「島の宝物(モノ、コト、場所、その他)」を撮影した写真と、撮影写真を紹介するためのワークシートについて、参加者が1人ずつ発表していきました。

「20代から30代前半の独身女性」のペルソナに対しての宝物として挙げられたのは、「暮らし旅」と題した複数回にわたってリピート来島してもらえるプランのシチュエーション写真や「三本岳に沈みゆく夕陽」や「錆が浜の夕景」と題した三宅島の夕景写真。内省したり癒やしの時間を持ったり、個人の時間を楽しんでほしいとの思いが伺えました。また、農業体験を通じて「普段着の島」を体験してもらうことなど、様々なアプローチが挙げられました。

ファシリテーターは参加者の発表を聞きながら「ペルソナの気持ち」「ペルソナにとっての価値」を付箋に書き出し、模造紙に貼って島の宝物と価値を可視化させていきました。

「30代後半の子育てファミリー」のペルソナに対して提案したい宝物として挙げられたのは、2000年の噴火による泥流の凄まじさと植生の復活を学ぶことができる「椎取神社」の写真や、島の緑と海と空の青のコントラストがきれいな「瓢箪山」の写真。どちらも火山の島ならではの情景で、訪れたペルソナはこれまでに経験したことのない、整備されていない大地を目のあたりにすることができるというもの。また、粗削りで荒々しい「新鼻新山」と、雨の日でも対応可能なアクティビティとして、公共施設としては日本最大級の「村営ボルダリング場」の写真も加わり、どちらも家族で楽しめるアクティビティとして、「登る」というアイデアが追加され、さらにバラエティ豊かになりました。

参加者それぞれが持ち寄った島の宝物に対し、ファシリテーターは「予想していたよりも多くの島の宝物が挙げられ、内容的にも魅力的」と講評。一旦10分程度の休憩をはさみ、お互いが持ち寄った宝物について議論を深めます。

島ブランド・コンセプトシートの作成

貼り出された写真を前に、ファシリテーターが参加者へ質問を投げかけ、個々の宝物はペルソナの人生にどんな価値を提供できるのか、また、島の本質的な魅力とどう関わっているのかを引き出し、分かりやすく整理しました。

参加者が持ち寄った島の宝物は、名所などの「場所」と、畑仕事や登山などの「体験」に分けられると分類し、コンセプトの真ん中にすえられる三宅島ならではの宝物を考えました。

その際、「鯖が浜のしぶきの迫力というのは具体的に何か?」「火山のインパクトはどんな気持ちを揺さぶるか?」「持ち寄った島の宝物の中にどんな別の一面があるか?」と参加者に問いかけました。

参加者からは、「波も火山も人間が太刀打ちできない感じ」「自然が地球における自分自身の立ち位置を考えさせてくれる」、「ワイルドな体験などが、人間の原始的な欲求を満たすのではないか」といった意見が挙がりました。

こうしたいくつかの意見が呼び水となって、さらに発言が続きます。

「火山でも鳥でも海でも、それぞれがマニアでも楽しめる深みがある。ドルフィンダイビング、シュノーケリングもスケールが大きい」「毎日同じところに行っても表情が違うし、釣れる魚も違う。すべて自然のこと。一期一会」など、三宅島のダイナミックでプリミティブな魅力が他にはない価値であるという意見に集約されました。

一方で、ダイナミックでプリミティブな島の価値を言葉にした時に、陳腐化してしまうという難しさを話す参加者もいました。

本質を捉えた活発な議論が交わされる中、ファシリテーターは、参加者の発言を付箋に書き留め、共通点をまとめたり、問い直したりしながら島ブランド・コンセプトシートを埋めていきました。

三宅島らしいアクションアイデアの検討

参加者の議論を受けてファシリテーターがまとめていった島ブランド・コンセプトシートに貼られたブランド価値は、「人間が太刀打ちできない」「自分を内省できる」「一期一会」「表情が豊か」「じわじわとくる持久力がある」などが挙がり、ブランド価値を支える事実・特長に、「ヒト」としては「島内の人との価値の共有」、「モノ」としては「火山」、「むき出しの自然」、「コト」としては「神社」、「祭」などが挙がりました。

「これらのブランド価値を踏まえて、どんな体験や場を作っていくと島の価値を伝えられるか、各自10分間でアクションアイデアシートにアイデアを書いてみてください」とのファシリテーターの説明を受けて、参加者たちがペンを走らせます。

「火口巡り」や「錆が浜ライブカメラ」といった三宅島らしい自然体験のアクションアイデアが挙がる一方、自然に関わる三宅島らしい仕事を中長期で体験できる「農に触れて自ら発信するツアー」や「仕事旅行」、崖からカメを見たり、荒れた海や火口を見たりして非日常を体験できる「少しだけ危険なツアー」や「ナイトツアー」など、これまでにないツアープランを発表する参加者も多数いました。

その他にも、自由にコンテンツを組み立てることのできるツアーとして、東京都港区の竹芝港からの往路の船にガイドが添乗し、ツアーが始まる前から三宅島の感じ方を共有し、参加者同士の交流促進を図るといったアイデアや、ドローンに360度カメラをつけ、参加者はVRカメラで火口など人が入れないところを見ることができる「ドローン遊覧飛行」というユニークなアイデアも挙げられました。

参加者は、三宅島ならではの価値である「火山」と「食」は必須とし、「四季ごとのツアーはリピートしてもらえるし、島の豊かな表情を見てもらえる」との意見でほぼ一致。

一方で、「火山ツアーや魚を食べることなどはすでにやっているため、どうやって目新しさを出していくのか?」「ブランド価値が決まってきたので、やること自体はこれまでやってきたものと大差なくてもブランド価値そのものを前面に出すとよいのでは?」など、課題や今後の展望に話が及びました。

議論を終えて、ファシリテーターからは「コンセプトとアクションプランがだいぶ絞り込まれてきました。改めて、どういうペルソナに価値を届けていくかを整えられるとより魅力的なアクションアイデアとなる」とアドバイスしてこの日のプログラムは終了しました。

今後は、ファシリテーターとも相談しながらアクションプランを作成。1月29日に開催される第2回東京宝島会議で三宅島の島会議発のアクションプランを中間発表します。

参加者の声

野田 博之さん(三宅島ネイチャーツアーズ mahana)

「今回、『野外で朝食や昼食を』というアイデアを出しました。実は現在、自分のところの宿でやっていて好評なので。それを島のツアーとしてやっていくということは可能性があるかもしれない。でも、考えただけでは意味がないと思うので、実際に現実化するところまでいけばいいなと思います」

宮川 勝兵さん(七島信用組合 三宅島支店)

「前回と今回とで、目指す方向がだいぶ見えてきたと思う。当初は最終的なブランディングがなんらかのモノになるのかなと思っていたけど、そうじゃなくてもいいんだなという風に思えてきた。対象となる人物像が見えてきたことで、彼らに対して三宅島の付加価値をつけていく作業なのだなと掴めてきた。三宅島らしい、火山や噴火を推していくのがPRになっていくのだと思います」

伊藤 奨さん(一般社団法人アットアイランド)

「参加者の人数が少なかったのは残念だったけど、前回設定した2パターンのペルソナに対して、三宅島の何を感じてもらうかを深めることはできたと思う。この後はペルソナとなる人が実際に島に来た時にどう感じてもらうかのアクションプランを考えていくと思うが、想像だけじゃなく、実態に即した現実的なものにしないといけない。また、それをイベントに終わらせずに、どのように継続的なものにしていくかというのを自分たちで考えていかなくてはいけないだろうと思いました」