REPORT

「第3回島会議」大島で開催!

11月21日、大島にて、第3回「島会議」が開かれました。その模様をレポートします。

まずは第2回島会議の振り返り

「島会議」は、島を支える事業・産業に関わる人たちや、日頃から島の活性化に取り組む方々が集まり、領域の垣根を超えて、島のブランド化について話し合う場。11月21日、大島にて、第3回「島会議」を開催。第1回、第2回から引き続き参加している、さまざまな業種の18人のメンバーが、再び島で一堂に会しました。

ファシリテーター主導のもと、まずは10月に開催された第2回島会議の振り返りを行いました。東京都心の4カ所(渋谷・世田谷・谷根千・清澄白河エリア)で行われたフィールドワークの概要と島の方々からの気づきをまとめ、もう一度共有。さらに、今回の島会議での目指すべき「ブランド」「ブランディング」とは、表層的なイメージではなく、固有の魅力的な個性(=らしさ)であること、また、他とは違う差違や優位性、そのサービスを選ぶ理由となるものを提示していくことが大事だということを改めて強調しました。

島民らが考えた「象徴的顧客像」とは?

第3回島会議の主たる作業は、「象徴的顧客像(ペルソナ)」を島会議メンバーで想像し、人物像を固めていくこと。この「ペルソナ」は、各島でブランドコンセプトを策定していく上でベースとなる大切なもの。強固なブランドであればあるほど、どのようなお客様に支持されているのか明確なものであり、万人に向けたブランディングよりも「この人に共感されたい」「この人に島を好きになってほしい」といったペルソナが明確な方が「島の宝物」がより魅力的に伝わるということを説明しました。

そこで、3チームに分かれて、様々な人物のビジュアル写真をもとに、性別、年代、仕事、ライフスタイル、家族構成、趣味、性格、休日の過ごし方、大切にしていることなどを想像しながら選んでいきます。そして、メンバー個人個人が「どういう人に島に来てほしいか」を基準に写真を1〜2枚ほど選び、その際、「どんな人か」「どんなことを考えている人なのか」を洗い出していきます。その後、チームの中で各人の意見を共有し、顧客像を議論。最終的にチーム内で1枚だけに絞り、その顧客の詳細なペルソナを設定して、チームごとに発表を行いました。

さわやかな美しい女性の写真を選択したAチーム。デザイナーとしてバリバリ仕事をしながら、ストレスフルな生活を送る31歳都内在住のほたるさん。趣味は、休日に自然や動物に触れ合う場所へ行くこと。デザイナーという仕事は場所を選ばない仕事であることに気づき、夏だけ大島へ通い始めます。交際して3年目の彼との結婚を考え、いずれは移住して、子育ては島がいいと考えています。

続いて、Bチームの顧客イメージ像は、若くはつらつとした男性の写真を選択。修造君と名付けられた彼は、東京・世田谷出身で、都心の金融機関に勤務しています。24歳の社会人になりたてという設定で、社会とのギャップに苦しみ、少し疲れ気味。ネットで偶然知った大島へ訪れて気ままに島をめぐり、とても島を気に入った青年は民宿の閉鎖を耳にし、以後、島へ通うように。いずれ自分も民宿を経営したいと考えるように。

最後に、ショートカットの利発そうな女性の写真を選択したCチームの顧客イメージ像は、30代後半の東京生まれの都会的な女性。剛力メグミさんと名付けられた彼女は、都心で働き、女性誌のライターとしても活躍しています。旅行や食べ歩きが趣味で、年2〜3回はダイビング旅行に出かけるその女性は、駅張りポスターを見て大島へ日帰りで訪問。島民との触れ合いや温泉、アクティビティに魅せられ、以後、リピートするファンに。

チームごとに発表された象徴的顧客像は、それぞれとても具体的でイメージしやすいものでした。各チームともに共通点はあるものの、やはり似て非なるもの。そこで、3チームによる象徴的顧客像の共通点と相違点を洗い出し、活発な議論が交わされました。

観光か移住か。都心からの近さが魅力の大島ならではの悩み

これら3チームで選ばれたペルソナには、それぞれ共通点・相違点がありました。共通点としてあがった意見は「他の人を島外から呼ぶ発信力のある人」「手軽に非日常が味わえるため、癒しを求めている人」「自然が好きな人」「都内在住であること」「日常が忙しいため、ゆったりと過ごしたいと思っている人」「単身者、未婚者であること」など。

「若いとすぐに飽きてしまい、他の場所へ行くのでは?」「大島を広めてくれるファンになってもらうことが大事なのでは?」「単なる観光客だけでなく、住民を増やしたい!」。各チームが活発に意見交換を交わす中、大島の「都心からの距離」、「アクセスのしやすさ」が話題の中心に。その大島ならでは立地を活かして「半都半島生活」を増やしたい、いずれは移住を考えてくれるような人に来てほしいという意見が出たところで、A・BチームとCチームの明らかな相違点として浮かび上がったのは、「年齢」「性別」に加え、「後の移住者か、単なる観光客か」という明確な「島を訪れる目的」の違い。議論が深まるにつれ、ここが一つのターニングポイントとなりました。

「移住者か観光客か」という2つの異なる人物像で意見の二分化が進む中、大島のペルソナとして一つに決めるか、緩やかなグラデーションをつけて中間地点に落ち着けるか、ファシリテーターが参加者に問いかけます。そこで、とあるメンバーの発した「自己(島民)と他者(観光客)を分けて考え、観光客を増やすことを重点的に考えた方がいい」という意見で流れが変わりはじめました。

ファシリテーターの「『島に住みたい人を増やす』のと『観光客を増やす』は求める人物像が違ってくるが、大島にとって『質の高いお客様』を増やすには?」という問いには、「Cチームのメグミさんのような観光客を増やしていくことがまず大前提となる」と参加者たちの意見が一致。

「Cチームメグミさんのような人が100人、1,000人と集まってくる中で、その中の数人がAチームのほたるさんや、Bチームの修造くんのような、島に住みたいと思う人になってくれればいい。発端はまずメグミさんのような人を増やすこと」と、まずは観光客としてリピートするうちに移住という選択肢があることに気づき、「島に来るきっかけとしては観光でもいい」「まずは島を好きになる可能性のある層を狙って行く」と、3チームの意見が一つに収束しました。

島に来てもらうために、必要なモノ・コト

しばしの休憩を挟み、「KFS(Key For Success)」を書き出すワークに。各ペルソナを前提にどうすれば島に来てもらうことができるのか、そのためには何が必要なのかを具体的に洗い出していきます。例えば、「ペルソナが満足するには何が必要?」「ペルソナにとって島でどんな気持ちになることが重要?」そのために「島に足りないもの」や「島にあるもので活用できそうな島の財産」などを具体的に抽出していき、その後、チームごとに発表を行いました。

Aチームは「島外に発信してもらうことが重要」と考えました。そのためには、「発信したい、もう一度行きたいと思うような発見や癒し」が必要であることや「島内の移動手段、飲食店、観光客と島民の交流の場やイベント」が必要であること、また、「大島らしさは、都心からの近さと非日常感」であることからリピートに繋がるのではと発表しました。

Bチームは、「島の一員、家族の一員になったような気持ちになることが大切」と考えました。そのためにも「地元の人と話ができる場所やアクティビティ(海、山、道路を使ったサイクリングやランなど)」「農業、産業、教育などの文化に触れる体験」が必要であること、「飲食店や島内の移動手段、おもてなしする人や事業者がまだまだ少ない」という課題も見えてきました。

Cチームは「穏やかなワクワク、満たされた気持ちになることが大切」だと考えました。そのため、「楽しいガイドがいれば、驚きや発見、次の旅への期待になる」こと、また「船の就航率の高さ」「何もないけれど、島ならではの時間がある」という「大島らしさ」をアピール。足りないものとしては「宿や雨の日過ごせる場所」「期待以上のおもてなしやふれあいがないこと」などがあげられ、その解決策としては、「岡田港の新しい待合所でファーマーズマーケットの開催」や「廃校になった小学校を活用する」といった具体的なアイデアが発表されました。

これらの議論を踏まえて、次回の宿題が発表されました。今回、プロファイリングしたペルソナに、島のメンバーそれぞれが「紹介したい島の魅力」を探し出すこと。島の宝物となる場所やものの写真を実際に撮影してもらうこととなりました。

最後に、東京都総務局行政部から閉めの挨拶がありました。「皆さんの議論に共通しているのは、大島は東京からの近さという地理的要件を他の島とは違う武器だと捉えていらっしゃるのだということでした。近さと非日常をどうやって提供するのかという課題も見えてきました。これからどんな議論になっていくのか楽しみです」と第3回島会議を締めくくりました。

参加者の声

山下 優さん(七島信用組合)

「島の人たち同士だけでなく、普段出会えない運営事務局の方とお話する場ができて、島のいろいろな見方を教えてもらっています。新鮮な気持ちで毎回参加させてもらっていて、本当にありがたいです。こういう機会なので、やって終わりではなく、きちんとした形で残していきたい。この島会議が、大島の産業を作れる活動になればいいなと思っています」

杉山 睦美さん(Island Kitchen)

「観光客や友だちが来島した際、『こういうのがあったらいいな』と思うことが度々ありました。そして同じことを思っている仲間がいるのに、共感する場がなかった。今回こうして多方面からいろんな方が集まる島会議を通して、その思いを共有することができました。そこから、どうしていけばいいのか、明確になっていくのを感じています。私は大島で生まれ育ったので、大島をよくしたいという気持ちは子どもの頃から思っていたこと。何か残していかなくちゃいけないなと思っていました。だからこの場を借りて、みなさんと一緒に何かできたらいいなと思っています」

小川 修作さん(伊豆大島シ―サウンド)

「僕は大島に移住して12年経ちますが、ずっとダイビングの仕事をしていて、観光業に携わっているので、お客さんへの事業だとかサービスという観点でしか考えていませんでした。グループワークの際、最初に移住の話が出て、事業者の立場がそれぞれ違うので、僕がお手伝いできることはないのかな?と思いました。でも同じチームの中に、同じ目線の方がいたり、同じ意見を聞くことができて安心しました。島会議もあと数回。どこまでいけるのか、自分の中では着地点がまだ見えていませんが、楽しみでもあり、少々難しさも感じているというのが正直なところです」