REPORT

第4回式根島島会議 開催レポート

東京宝島事業では、島の住民が主体となり、各島の魅力について議論し、磨き上げることで、島のブランド化を目指す「島会議」を行っています。11月26日に開催された式根島の第4回島会議・スタディツアーの模様をレポートします。

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あらゆる交流の"ハブ"となるコミュニケーションスペース事例へ

これまでの島会議を経て参加者の間で見直されたのは、式根島の「古い町並み」と「人の温もり」。小さな島だからこそ育める地域ブランドの価値を再発見しました。しかし、観光客のピークシーズンには忙しさが尋常ではなく、また、年間を通した就業場所がないため「若い人材を呼ぶことができない」という問題も改めて浮き彫りに。

そこで、島の住民が生き生きと暮らしながら、島外の人材も集える拠点をつくれるよう、式根島ではアクションアイデアとして「CO workation(※)」という「あらゆる"ヒト"の交流のハブとなるスペースづくり」が掲げられました。
※オフィス環境を共有しながら、様々な人がそれぞれの仕事をする「コワーキング」と、オフィスを離れリゾート地などで休暇(バケーション)を取りながら仕事(ワーク)もする新たな働き方「ワーケーション」を組合せた造語。働く場の共有により、交流が生まれることが期待できる。

島内外の人が集い、島の魅力を内外に発信するコミュニケーションスペースを作るにはどうすれば良いのか。式根島のスタディツアーでは、コミュニティスペースづくりの事例として、茨城県結城市の「Coworking & Café yuinowa(ゆいのわ)」と東京都世田谷区のコミュニティカフェ「ななつのこ」の2カ所を巡り、そのヒントを探ります。

式根島に似た古きよき地域資源を活かす原動力とは?

1カ所目に訪れた結城市は城下町。「Coworking & Café yuinowa(ゆいのわ)」は、結城紬で知られる絹織物の旧呉服店(築90年)をリノベーションしたシェアスペースです。

蔵造りの建物にはコワーキングスペースだけでなく、誰でも利用できる休憩所やワークショップにも活用できる寺子屋タイプの広間、シェアオフィス、展示会にも使える中庭などがあります。

格子戸に畳敷きの落ち着いた設えに「仕事がはかどりそう」と参加者一同。中でも参加者の注目を集めたのは、日替わりでオーナーが変わる「チャレンジキッチン」。飲食店を開業させたい人材が、オープン前の腕試しとしても活用できるスペースで、これまでに店舗としての開業に至った例もあるそうです。

同施設を案内するのは「結いプロジェクト事務局」の担当者。創設のきっかけは「結城市からの若者流出の阻止」であり、「地域にやりたい仕事がない」という緊急課題に対して、「成長産業であるIT分野で仕事創出を」と考えたと言います。

「人材の育成がやがて人材誘致に繋がるのでは」という市の後押しもあって、コワーキングスペースを中心とした「Coworking & Café yuinowa」を2017年にオープン。人材育成事業やテレワークに取り組む企業の従業員受け入れや、移住定住相談窓口など市の創業支援拠点にもなっているとのこと。

「結いプロジェクト」は学生、会社員、公務員が所属する町づくりの任意団体。立ち上げから10年が経ち、街回遊型のマルシェ「結い市」、古い建物をライブ会場にする「結いのおと」など多彩なイベントを開催するなど、城下町という地域資源を活かしたコミュニティ活動を活発に展開しています。」

「たくさんの引き出しを持つ外(民間)と行政とをうまくつなげることができたのは、結城市という地域ブランドを高めるべく活気ある町づくりを継続してきた成果だと感じています」と、手応えを話す担当者の言葉に、参加者は大きく頷きました。

人気の交流カフェから学ぶヒトと場をつなぐ黒子の力

次に訪れたのは、大規模団地の建て替えにともなって、2012年にオープンした東京都住宅供給公社の少子高齢化対策(ダイバーシティプラン)事業の施設「ななつのこ」です。

「ななつのこ」は、全12棟からなる「コーシャハイム千歳烏山」の住宅内にあるコミュニティカフェ。およそ200平方メートルの屋内施設は窓が大きく明るく広々としています。

場所を取らないコンパクトなオープンキッチンや、温もりあふれる手作り品の展示スペースに、参加者から「こういう施設をつくれたらいいなぁ」「理想的!」の声が挙がりました。

ここでは、マネジャーが施設の概要について説明。世代をこえて気軽に利用できるカフェとしてスタートした「ななつのこ」は、今やカフェ運営だけでなく、地域の関連団体等との連携で、防災デイ、夏まつり、マルシェなど様々なイベントを開催。一般の人が開く教室やワークショップのレンタルスペースとしても人気で、マンスリーレターに網羅された催しのスケジュールは圧巻です。

施設のモットーは「地域の皆さんが、色々な形で、色々やりたかったことができる場所」で、マネジャー曰く「スタッフは黒子」。ほぼ毎日開催しているイベントやワークショップをスタッフだけで企画運営していくには手が足りないため、地域の様々なスキルを持つ意欲的な方を対象に、月に2回「ななつのこで何かやってみたい方向け相談会」を実施。使い方や方針について一度にまとめて説明して、ルールの徹底を図ることが、かえって誰もが利用できる気軽さにつながるそうです。

相談会の後は、それぞれの使い方の希望に合わせて内容毎の担当スタッフと相談しながら実際の利用を決め、「お願いして何かやってもらうのではなく、地域の方々がやってみたいことを主体的にやれる場や機会を提供している」という考え方で同施設を運営していると言います。

「作った物品の販売、教室の参加費など、自分のやったことの対価を収入としてきちんと得ることができる仕組みにしています。運営に関わる大切なところはしっかりと押さえた上で、全てを抱え込まないで任せるというのもポイントです」と、交流スペースを継続していくコツや、スムーズな運営の仕方などを教えていただきました。

参加者からの「民間で継続的に運営するのは難しいのでは?」という質問には、「『地域に開かれた場づくりをして交流を生む』目的の千歳烏山と、『人の顔が見えるつきあいの中での交流の中心となる場』を求める式根島では、運営方法の違いが大きいですね。柔軟性とルールのバランスを取りながら『人と人をつなぐ』コーディネーター的な役割の人が中心にいると運営しやすくなると思います」というヒントが共有されました。

その後の質疑応答では、人件費や営業時間など具体的な質問が飛び交いました。参加者からは「自分たちが今できそうなことのモデルケースを集めて、アクションアイデアのヒントにしたい」という意気込みも。このスタディツアーでの学びを経て、次回第5回島会議に臨みます。